はじめに
SESとして働くと、多くのエンジニアが直面するのが「案件選び」の問題です。
どの案件に入るかは、単なる配属先の違いではなく、今後数年間のキャリアを大きく左右します。
「希望する技術を学べる案件に入りたい」「でも、スキル不足で選ばれないかもしれない」──そんな不安を抱えたことはないでしょうか。
私自身もSESに転職した当初、まさに同じ悩みに直面しました。
この記事では、私の実体験を交えながら、SESで案件を選ぶときに意識すべきポイント、そして希望通りにいかなくても成長につなげる方法についてお伝えします。
SES案件選びの現実と落とし穴
SESではプロジェクトごとに現場が変わるため、自分がどんな案件に入るかで日々の業務内容も、習得できるスキルも大きく変わります。
ただし、案件を選ぶときにはいくつかの落とし穴があります。
- 「慣れているから楽そう」で決める
一見ラクに思える案件は、裏を返せば新しいスキルを得られにくい環境です。短期的には快適でも、数年後に市場価値が下がるリスクがあります。 - 「給料が高いから」で決める
単価の高い案件は魅力的ですが、成長が止まってしまうと次の案件に行けなくなることも。キャリアの停滞は長期的にはマイナスです。 - 「会社が決めてくれる」と受け身になる
SESでは「個人のスキルが現場を選ぶカギ」です。会社に任せきりでは、自分のキャリアをコントロールできません。
私自身、最初はこうした落とし穴にハマりそうになりました。
「会社が決めてくれた案件なら安心だろう」と思っていましたが、実際はそうではありませんでした。
案件を選ぶときの基準
私が試行錯誤を経てたどり着いた「案件選びの基準」は以下の3つです。
- スキルアップにつながるか
将来的に需要が高い分野(クラウド、コンテナ、セキュリティなど)を扱えるかどうかを意識します。 - キャリアゴールに近づけるか
AWSエンジニアを目指しているのに、オンプレの運用案件ばかりを選んでいては遠回りになります。方向性と一致しているかが大事です。 - 学習文化や環境があるか
属人化している現場より、チームで知識を共有する環境を優先。学べるスピードが全く違います。
実体験:希望案件に入れなかったときの挫折と気づき
SESに転職した当初、私は「AWS案件に入りたい」と希望していました。
クラウド技術を学ぶことが将来のキャリアに直結すると考えていたからです。
しかし、現実はそう甘くありませんでした。
面談では「経験不足」と判断され、最初に配属されたのはオンプレのリプレイス案件。
またオンプレ環境か…正直、落ち込みました。希望通りにいかないもどかしさが強く、最初はモチベーションも上がりませんでした。
そこで得られた意外な学び
ただ、その現場では 作業の自動化 が強く求められていました。
私はそこでAnsibleを用いて構築作業を効率化する役割を任されるようになりました。
結果として、次のようなスキルを獲得できました。
- Ansibleを用いた構成管理と作業効率化
- システムが異なっても汎用的に機能するためのPlaybookの設計、実装経験
当時は「クラウドを触りたいのに」と焦っていましたが、振り返ってみればこのスキルこそが後のAWS案件でも強く生かされました。
クラウド環境でもIaC(Infrastructure as Code)の考え方は必須であり、私の自動化スキルは面談時に評価されたのです。
👉 希望通りの案件に入れなくても、その経験が必ず次につながる。
この気づきは私にとって大きな転機でした。
案件選びで後悔しないための準備
案件を選ぶときに重要なのは「事前準備」です。
希望を伝えるだけでは不十分で、説得力のあるアピール材料を持つ必要があります。
私が取り組んだ準備は次の通りです。
- 資格取得で知識の証明を用意する
AWS認定資格(SAA)を取得し、「知識はある」ことを形にしました。 - 検証環境を作り、学習と実務を橋渡し
自分でAWS環境を立ち上げ、ハンズオンで試すことで「実際に触っています」と伝えられるようにしました。 - 希望を具体的に伝える
「AWS案件に入りたい」ではなく「EC2やS3のサービスを経験したい」といった具体的な希望を伝えました。 - 面談対策を徹底
「自動化の経験がクラウド環境のIaCで活かせる」など、自分のスキルを次の案件につなげられる形で説明できるようにしました。
この準備が功を奏し、次のAWS案件に進むことができたのです。
案件選びを成長につなげるために意識すべきこと
最終的に私が学んだのは、以下の3つの視点です。
- 「楽だから」ではなく「成長できるか」で案件を選ぶ
- 希望通りでなくても、得られるスキルを必ず拾い上げる
- 常に次のキャリアを見据えて準備を進める
SESは「案件ガチャ」と揶揄されることもあります。
しかし、受け身にならず、自分で戦略を持って案件に臨めば、それはキャリアを伸ばす絶好のチャンスに変わります。
まとめ
SESでの案件選びはキャリア形成の要です。
私自身、希望通りにいかない経験をしましたが、その遠回りが次のステップを切り開く力になりました。
- 希望案件に入れなくても学びは必ずある
- 遠回りに見える経験が武器になることも多い
- 案件を自分のキャリア戦略に組み込む視点が必要
👉 安定したキャリアを築くためには、案件を「与えられるもの」として受け取るのではなく、「自分の成長のために選ぶもの」として捉えることが重要です。

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