IT業界の中でも「未経験からでも挑戦しやすい職種」として人気があるのがインフラエンジニアです。特に、最初のキャリアの入口として「SES(システムエンジニアリングサービス)」を選ぶ人も少なくありません。
しかし、未経験でいきなりSESに飛び込むと「想像と違った」と感じてしまう人も多いのも事実です。
本記事では、未経験からインフラエンジニアとしてSESで働く前に知っておきたいことを、現場目線で整理してお伝えします。これから挑戦する方の参考になれば幸いです。
インフラエンジニアとは?未経験でも挑戦できる職種なのか
インフラエンジニアは、システムやサービスが動くための基盤を作り、守る役割を担う仕事です。具体的には以下の分野があります。
- 運用・保守:サーバやネットワークが正常に動いているかを監視し、障害対応を行う
- 構築:新しいシステムのサーバやネットワークを設計し、セットアップする
- クラウド:AWSやAzureなどのクラウド基盤を設計・運用する
未経験の場合、最初は「運用・監視」からスタートすることが一般的です。夜間対応やアラート監視など、地味な作業に感じることもありますが、基礎的な知識を身につける上で大切な経験となります。
SESという働き方の基本
SESとは?
SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアが企業に常駐し、技術力を提供する働き方です。派遣のように見えることもありますが、契約形態は「準委任契約」と呼ばれるもので、成果物ではなく作業時間を提供するのが特徴です。
他の働き方との違い
- SIer:自社内でシステム開発を受託。教育体制が整っている場合も多い
- 社内SE:自社システムを担当。ユーザー部門とのやりとりが多い
- フリーランス:高いスキルが前提。案件を自分で選び、報酬も高い
未経験者が最初に入りやすいのは、やはりSESです。案件数が豊富で「未経験可」の求人も多いからです。
未経験がSESに入る前に知っておくべき現実
「未経験でも大丈夫」というフレーズは魅力的に聞こえますが、実際に働き始めると以下のような現実があります。
1. 運用・監視からスタートすることが多い
多くの場合、最初はシステム監視や簡単なオペレーション業務から始まります。
この段階では、エンジニアというより「オペレーター」に近い業務内容になることもあり、「イメージと違った」と感じる人もいます。
2. 長期的なスキルアップは自分次第
SESはプロジェクトに常駐する形のため、教育体制が整っていないことも多いです。成長のスピードは「どれだけ自分で学べるか」に左右されます。
3. 会社に依存しすぎると成長が止まるリスク
所属会社はあくまで契約上の雇用先です。スキルアップのための研修やキャリアパスが十分に用意されていない場合もあります。そのため「会社が育ててくれる」という意識ではなく、「自分で学び続ける」という姿勢が必要です。
入社前に準備しておきたい基礎スキル・資格
未経験からSESに入る前に、最低限の基礎を押さえておくと現場での評価も大きく変わります。
Linuxの基礎
- コマンド操作(ls、cd、vi、chmodなど)
- ユーザー管理やファイル権限の概念
ネットワークの基礎
- OSI参照モデル
- IPアドレス、サブネットマスク
- ルーティング、DNSの仕組み
おすすめ資格
- ITパスポート:IT業界全般の基礎知識を学べる
- CCNA:ネットワーク分野の登竜門
- LPIC-1:Linuxの基礎知識を証明できる
学習方法
- 書籍でのインプットに加え、実際に手を動かす学習が効果的
- 無料クラウド(AWS無料枠など)を使って環境構築を体験
- 学習記録をブログやSNSで発信するとモチベーション維持に役立つ
SESでキャリアを積むためのマインドセット
SESで働きながらキャリアを積んでいくためには、次のような意識が大切です。
学び続ける姿勢
現場によって学べる内容が違うため、常に新しい技術に触れ続けることが重要です。「手を動かして理解する」ことを習慣にしましょう。
コミュニケーション力
SESでは客先で働くため、技術力以上にコミュニケーション力が評価されることがあります。質問の仕方や報告・相談の仕方を意識するだけでも評価は大きく変わります。
転職やキャリアチェンジを視野に入れる
SESはキャリアの入口としては優れていますが、長く働き続けるのに適しているとは限りません。数年経験を積んだら「自社開発」や「クラウドエンジニア」「社内SE」など次のステップに進むことも考えておきましょう。
まとめ
未経験からインフラエンジニアとしてSESに入るのは、確かに挑戦しやすい選択肢です。
しかし「会社が育ててくれる」と考えるのではなく、自分で学び続ける姿勢が成功のカギになります。
- 最初は運用・監視業務からスタートすることが多い
- Linuxやネットワークの基礎を事前に学んでおくと有利
- コミュニケーション力も評価される大切なスキル
- SESはあくまでキャリアの入口、次のステージを見据えることが重要
「自分資本で生きるインフラエンジニア」を目指すなら、SESをキャリアのスタート地点としてうまく活用していきましょう。
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